インターネット上のSNSや動画投稿サイトでは、野菜の切れ端を水につけて育てる「リボーンベジタブル(リボベジ)」が人気を博しています。その中で散見されるのが、「かいわれ大根を刈り取った後のスポンジに水をあげたが、全く芽が出ずにカビが生えた」「腐敗して異臭がした」という失敗の報告です。
なぜ豆苗は2回目・3回目の収穫が可能なのに、かいわれ大根は再生できないのでしょうか。その理由は、植物の成長点(分裂組織)の位置と種子内部に蓄えられたエネルギー残量にあります。
豆苗の場合、生産現場での収穫時に「種子の少し上、本葉の付け根にある小さな脇芽(成長点)」を残して刈り取られます。さらに、土台となっている大きなえんどう豆には、発芽後も2回目の芽を押し上げるためのデンプンや栄養素が潤沢に残存しています。これが、家庭で水を与えるだけで再びグングンと成長する豆苗の再生栽培方法の科学的根拠です。
一方、かいわれ大根が再収穫できない理由は明快です。かいわれ大根の成長点は、二枚の双葉の間という最頂部にしか存在しません。可食部として収穫する際、茎(胚軸)の途中で切断してしまえば、成長点は完全に消失します。さらに、大根の種子はケシ粒のように極小であり、一度の発芽によって蓄えていた養分を100%使い果たしています。成長点を失い、エネルギーも空っぽになった茎の基部に水を注ぎ続ければ、呼吸ができずに組織が壊死し、雑菌やカビが繁殖するのは自明の理です。かいわれ大根の再収穫は植物構造上、絶対に不可能です。