店頭で手に入るキャンバス製品は、構造面から大きく二つに大別されます。木枠に布を釘やステープルで張り巡らせた「張りキャンバス」と、厚紙やMDF合板にキャンバス地を貼り付けた「キャンバスボード」です。ダイソーやセリアではこの双方が展開されており、それぞれ異なる特性を持っています。
まず描き味の根幹を握る100均キャンバスアクリル絵の具適性について検証したところ、水性のアクリル絵の具やアクリルガッシュとの相性は想像以上に良好です。工場出荷の段階でアクリルエマルジョン系のプライマーが薄く塗布されており、水を含ませた筆を走らせても表面で極端に弾かれることはありません。一般的な画学紙のように水分で波打つ心配がないため、水分量を多く含ませるウォッシュ技法や、ペデスタルナイフを用いた厚塗りのテクスチャー表現でも基底材としてしっかり踏みとどまります。
ただし、画材専門メーカーの高級キャンバスと比較した場合、布目の凹凸がやや浅く機械的である点、吸水性に個体差がある点は否めません。絵の具が急激に布へ吸い込まれ、グラデーションのぼかし際が意図せず固まってしまう現象が時折見られます。この挙動さえ把握していれば、習作や日常のインテリアボードとしては十分すぎるポテンシャルを備えています。