腹膜透析の原理は、患者自身の腹部にある「腹膜」をお椀のようなろ過膜として利用し、お腹の中に注入した透析液に毛細血管から老廃物や余分な水分を移動させて体外へ排出する仕組みです。これを行うには、外科手術であらかじめ腹部にカテーテル(細いシリコンチューブ)を植え込む必要があります。
実際のやり方には、日中に行うCAPD(持続携行式腹膜透析)と、夜間に機械が行うAPD(自動腹膜透析)の2大方式が存在します。ライフスタイルや残尿量に応じて選択されますが、どちらも無菌操作の徹底が基本動作となります。
1. CAPD(手動バッグ交換)の具体的な4ステップ
CAPDは1回あたり約30分、1日に3〜4回バッグ交換を行う手法です。清潔な室内環境を整えたうえで、以下の工程を患者自身または介助者が行います。
- ステップ1(環境準備・手洗い):エアコンの送風を止め、窓を閉めて埃の舞い上がりを防ぎます。マスクを着用し、指先から手首まで2分以上の念入りな手洗いとアルコール消毒を実施します。
- ステップ2(排液):お腹に留置していた古い透析液を重力で排液バッグへ落とします(所要時間:約10〜15分)。排液の色が無色透明〜淡黄色であり、濁りがないかを必ず目視で確認します。
- ステップ3(つなぎ替えとフラッシュ):新しい透析液バッグを接続器具を用いて無菌的に連結します。ライン内の空気を新しい液で押し流す「フラッシュ」を行い、腹腔内に空気が混入するのを防ぎます。
- ステップ4(注液と密閉):新しい透析液をお腹の中へ重力で注入します(所要時間:約10分)。カテーテルを確実に密閉器具(キャップ)で封鎖し、バッグ類を切り離して終了です。
2. APD(自動腹膜透析)の夜間自動運転
日中のバッグ交換が仕事や学業で難しい現役世代を中心に支持を集めているのが、APDと呼ばれるやり方です。「サイクラー」と呼ばれる自動腹膜透析装置をベッドサイドに設置し、就寝前にカテーテルを機器のチューブへ接続します。
眠っている6〜8時間の間に、機械が自動で3〜5回の排液と注液をプログラミング通りに繰り返します。朝目覚めたときに接続を外せば、日中は注液したまま自由に動ける、あるいは日中は液を抜いた状態(ドライ)で身軽に過ごすことが可能です。2026年現在は、通信機能付きサイクラーによって治療データが主治医の端末へ自動送信される遠隔モニタリング体制の導入が進み、トラブルの早期検知率が飛躍的に向上しています。