曲名である「ギブス(Gyps)」とは、周知の通り折れた骨を固定し治癒を待つための白い包帯・医具だ。しかし、この楽曲におけるギブスは、傷を治すための保護具であると同時に、自由な動きを奪う束縛の象徴としても機能している。
傷ついた心を相手の存在によって固め、動けないように固定する。それは一見すると優しさであり救済だが、見方を変えればお互いを身動き取れなくさせる強固な拘束だ。相手を強く愛すれば愛するほど、その愛は自由を奪い、重たく皮膚に食い込んでいく。痛みを和らげるためのギブスが、かえって新たな痛みを生み出すというパラドックス。この二面性こそが、聴き手の胸を締め付ける理由だろう。