三平の歩みを語る上で避けて通れないのが、実兄である九代目・林家正蔵の存在です。かつて「林家こぶ平」としてバラエティ番組で長年いじられ役を担っていた兄・正蔵もまた、2005年の大名跡襲名時には「名前負けしている」「技術が追いついていない」と猛烈な批判に晒された歴史があります。
しかし正蔵は、テレビ出演を大幅に絞り、大師匠たちのもとへ通い詰めて古典落語を猛勉強しました。その結果、情の通った人情噺や江戸の風情を巧みに描く実力派として落語協会副会長を務めるまでに評価を大逆転させました。
弟である三平も、兄が歩んだ苦難の軌跡を追うように、テレビの喧騒から距離を置き、高座での徹底的な鍛錬へと舵を切りました。「海老名家の直系」という看板は、絶大な知名度と引き換えに、常に過酷な世間の目に晒される諸刃の剣です。兄・正蔵が見せた復活のプロセスは、三平にとっても最大の道標となっています。