映画屈指のハイライトとして映画史に残る美しさを見せたのが、すずが同級生の風太(前田旺志郎)の自転車の後ろに乗り、満開の花びらが舞う中を疾走する「桜のトンネル」のシーンです。このシーンの撮影は鎌倉ではなく、静岡県沼津市愛鷹山麓(根古屋周辺)や富士宮市沼久保の桜並木で敢行されました。満開のわずか数日間を狙って撮影された圧倒的なピンク色のアーチは、少女が新たな居場所を見つけ、心を解き放つ瞬間を鮮烈に象徴しています。
海辺のシーンでは、七里ヶ浜海岸や稲村ヶ浜が重要な舞台となりました。映画のラスト、四姉妹が喪服を脱ぎ捨てて素足で波打ち際を歩くシーンは七里ヶ浜で撮影されています。江の島と富士山を遠望できるこの広い砂浜に立つと、寄せては返す波の音とともに、家族の絆を深めていった四人の温かな会話が蘇ってくるかのようです。