古墳時代の食生活を語る上で欠かせないのが、加熱・貯蔵を支えた土器の進化です。この時代、食卓や台所では「土師器(はじき)」と「須恵器(すえき)」という2種類の土器が明確に使い分けられていました。
土師器は、弥生土器の流れを汲む赤褐色で素焼きの土器です。野焼きに近い低温(約800〜900度)で焼成され、通気性があるため、主に煮炊き用の甕(かめ)や日常の食器として庶民の間で広く使われました。
一方、5世紀初頭に朝鮮半島から技術がもたらされた須恵器は、斜面に築いた登り窯(窖窯)を使い、1100度以上の高温かつ還元炎で焼き上げられました。青灰色で硬く、水を通しにくいという画期的な特徴を持ち、酒や水・種もみの長期貯蔵用甕、あるいは豪族たちの儀礼用食器として重宝されました。当時の須恵器窯の管理は首長層が独占しており、最先端ハイテク製品としての価値を持っていたのです。