ノビルの持ち味を最も端的に味わうなら、伝統的な日本料理の知恵が詰まった「酢味噌和え」に勝るものはない。下処理したノビルを熱湯に潜らせることわずか10秒から15秒。氷水に取って素早く色止めし、水気をキュッと絞る。白味噌の甘み、米酢の柔らかな酸味、きび砂糖のコクを合わせた特製酢味噌で和えれば、シャキシャキとした食感の奥からピリッとした辛みと上品な甘みが広がる。
家庭料理の巨匠として知られる料理家・栗原はるみ氏をはじめ、NHKの『きょうの料理』などでも、ノビルのシンプルかつモダンなアプローチが度々紹介されてきた。生のまま細かく刻んで冷奴や納豆に散らす薬味使いはもちろん、鱗茎を丸ごと豚バラ肉で巻いてフライパンで香ばしく焼き上げる「肉巻きソテー」は、肉の脂の甘みとノビルの刺激が絶妙に調和する傑作だ。天ぷらに仕立てれば、ホクホクとした百合根のような甘美な食感へと変貌を遂げる。