長年、日本の温泉地を縛ってきた「1泊2食付き」の慣行に大きな風穴が空いた。館内ですべてを完結させるオールインクルーシブ型から、宿泊と食事を分離する「素泊まり・朝食のみ」へのシフトが加速している。
この変化がもたらしたのは、夜のストリートへの人波だ。廃業した土産物店をリノベーションしたクラフトビールバーや、地元の採れたて野菜を使ったナチュールワインのバルが立ち並び、外湯めぐりの合間にふらりと立ち寄る客で賑わう。旅館の壁を取り払い、地域全体を一つの大きな「ホテル」に見立てるまちづくりの手法が、かつて静まり返っていた夜の路地に温かな灯りをともしている。