天文5年(1536年)、第12代将軍・足利義晴の嫡男として生まれた良寿丸の幼少期は、平穏とはほど遠いものだった。近江の朽木への逃亡、有力大名たちの合従連衡、そして若くして背負わされた「室町幕府の再興」という重責。彼が後に「剣豪将軍」と称される足利義輝へと成長する過程には、武芸への没頭と泥沼の政治工作が同居していた。
史実における良寿丸は、単なる庇護されるべき子供ではない。乱世の権謀術数が渦巻く京都で、若き日より己の意思を持ち、剣術家・塚原卜伝に師事して奥義を極めた稀代の剣士としての顔も持つ。この過酷な生い立ちと圧倒的な武芸の才能という対比こそが、現代の視聴者を魅了してやまないストーリーテリングの原動力となっている。