犯人の小堤英統は、かつて東京都内の中学校で非常勤講師(理科)などを務めていた経歴を持つ人物でした。周囲からは「物静かで真面目」と見られることもありましたが、内面には極めて未熟な自尊心と強い支配欲を抱えていたことが捜査関係者の証言から浮かび上がっています。
逗子ストーカー殺人事件における犯人の動機の根底にあったのは、「自分を拒絶し、別の男性と結婚して幸せになった被害者への身勝手な逆恨み」でした。2011年春、被害者の結婚を知った小堤は逆上し、1日数百通に及ぶ脅迫メールを送りつけます。「刺し殺す」「必ず見つけ出す」といった文面を送り続け、同年6月に脅迫容疑で神奈川県警に逮捕されました。
有罪判決(懲役1年・執行猶予3年)を受けた後も小堤の執着は消えるどころか、警察に通報されたことへの怒りと復讐心へと変貌していきました。犯人が現場で自殺した理由についても、最初から被害者を道連れにする「拡大自殺」を計画していたとみられています。犯行前に自身の全財産を情報収集や探偵費用に注ぎ込み、凶行に及んだ直後に自ら命を絶った行動は、他者への支配を死によって完結させようとした歪んだ心理を物語っています。