日本における野生動物の扱いは、鳥獣保護管理法と駆除基準によって厳格に規定されています。本来、鳥獣保護管理法は野生動物の保護と繁殖を主眼に置いて発展してきた経緯があり、市街地での緊急発砲や有害鳥獣の迅速な捕獲に対しては長らく数々の法規制が足かせとなっていました。
しかし、近年の人身被害と農業被害の現実は、従来の保護優先の枠組みを根底から揺るがしています。人身被害者数が過去最悪水準を記録し、山間部のみならず駅前や学校の通学路、病院敷地内にまでクマが侵入する事態が日常化したことで、政府は抜本的な法改正と方針転換を余儀なくされました。
環境省はクマ(ヒグマおよびツキノワグマ)を「指定管理鳥獣」に追加指定し、国の交付金を活用した計画的な個体数削減と捕獲支援を本格化させました。これにより、都道府県による捕獲目標の設定や生息状況調査への財政支援が拡充され、自治体の防除体制は強化されつつあります。
さらに、市街地において人命に明らかな危害が及ぶ恐れがある緊急時に限り、警察官の指示のもとで猟銃の使用を迅速化できるよう発砲要件の明確化と規制緩和が進められました。法制度は確実に「保護一辺倒」から「人命第一の積極的管理」へと舵を切っています。