なぜこれほどまでに広範な共感を呼ぶのか。カルチャー批評家の分析は一貫している。従来の成長物語に存在した「自己肯定感の高いヒーロー」への反動だ。完璧な自己プロデュースが求められる時代において、吐き気がするほどの承認欲求と自己嫌悪に苛まれる等身大の姿は、若者たちにとって唯一信頼できるリアリティだった。
押しつけがましい前向きさや努力の押し売りは、時に孤独な若者を追い詰める。押し入れの中でひたすらコードをかき鳴らす暗い情熱。それこそが、綺麗事ばかりの音楽業界に対する強烈なアンチテーゼとして機能した。自分が何者でもないという絶望を、重厚なオルタナティヴ・ロックの歪みに昇華させるプロセスに、世界中の「隠れた孤独」が呼応したのだ。