敷地内に展示されているのは、断層そのものだけではない。激震や火災を耐え抜いた象徴的な構造物が、当時の記憶を静かに語りかけている。その代表格が「神戸の壁」だ。神戸市長田区の市場に立ち、太平洋戦争の空襲と阪神・淡路大震災の猛火という二重の惨禍を生き延びたこの防火壁は、傷つきながらも立ち上がった人々の強さを象徴している。
さらに強烈な視覚的インパルスを与えるのが、断層の真上に位置していた「メモリアルハウス(被災住宅)」だ。垣根が左右にズレ、建物の土台が傾きながらも奇跡的に倒壊を免れた木造住宅。穏やかだった日常が一瞬にして崩壊の危機に晒された恐怖が、傾いた柱や歪んだサッシから直感的に伝わってくる。住まいという安全の象徴が崩される現実を前に、立ち尽くす来館者の姿は絶えない。