かつて阪神・淡路大震災の教訓を経て本格化した都市圏活断層図作成プロジェクトは、人口密集地における地下構造の解明に大きく貢献してきた。この分野において長年にわたり警鐘を鳴らし続けている東洋大学名誉教授の渡辺満久氏らの研究グループは、開発によって地表の地形が改変された都市部においても、丹念な地形判読によって隠れた断層のトレースを浮き彫りにしてきた。
渡辺満久氏らが指摘するのは、大規模開発や盛土によって人工的に覆われた「見えなくなった断層」のリスクだ。都市化が進んだ地域ほど、過去の地震活動が刻んだ地表の傷痕が消し去られており、住民がリスクを察知しにくい。学術的見地からの厳密な分析と警鐘に対し、自治体や開発事業者はより一層耳を傾ける必要がある。