賃貸契約において「連帯保証人がいないから諦める」という入居希望者が後を絶たない背景には、昭和から平成にかけて定着した商慣習の刷り込みと、一部の不動産仲介会社による説明不足があります。かつての不動産取引では、親族が実印を押し、印鑑証明書を提出して身元を保証することが絶対的な入居条件とされてきました。
転換点となったのは2026年4月施行の改正民法です。個人が連帯保証人になる場合、あらかじめ保証する上限額(極度額)を書面で定めなければ契約自体が無効とされる法改正が行われました。これにより、際限のない債務を恐れた親族が保証人を拒否するケースが急増し、賃貸市場は個人の連帯保証人から「家賃保証会社」の利用を前提とするシステムへと急速に舵を切りました。国土交通省の関連データや家賃債務保証事業者協議会の実態調査を検証しても、保証会社の利用率はすでに全体の80%〜90%前後に達しており、連帯保証人そのものを立てずに契約する形態がスタンダードになっています。
にもかかわらず諦めてしまう人が多いのは、ポータルサイトの検索条件にある「保証人不要」の表記を文字通り「一切の審査や保証料なしで入れる物件」と誤認していたり、仲介業者の窓口で「保証会社と連帯保証人の両方が必要」と言われた際に「自分には無理だ」と自己完結してしまうケースが多いからです。現場の実務では、大家側のリスクヘッジとして「連帯保証人も立ててほしい」と打診してくる物件が一部存在するだけであり、「保証会社一本で契約できる物件」は市場の過半数を占めています。入口の知識が不足しているだけで住まいの選択肢を狭めてしまうのは、極めてもったいない誤解です。