物語の中で朴さんは、周囲の住民から「非国民」「朝鮮人」と苛烈な嫌がらせを受けながら暮らしていた。しかし、ゲンの父・大吉だけは「人間はみんな同じじゃ、差別する奴が間違っとる」と毅然とした態度を貫き、朴さんを対等な隣人として扱い続けた。
原爆投下後、自らも負傷しながら飢餓に苦しむゲンの家族のために命がけで食料を調達し、出産間近のゲンの母・君江を助けた朴さんの行動は、過酷な時代に咲いた人間性の奇跡と言える。単なる犠牲者像にとどまらず、血の通った一人の人間として力強く生きる姿が、読者の胸を打ち続けている。