第一作『仁義なき戦い』の構図を読み解く鍵は、山守組内部の亀裂と外部勢力との複雑な結託にある。勢力を拡大する山守組の内部では、カリスマ性と実行力を備えた若頭・坂井鉄也(松方弘樹)と、老獪な組長・山守の間で深刻な主導権争いが勃発。坂井は組の実権を掌握すべく山守を経済的に追い詰め、隠居へと追い込もうと画策する。
一方、対立組織である土居組の内紛に乗じ、山守組は若杉寛(梅宮辰夫)と盃を交わして勢力を伸ばすが、若杉もまた山守の狡猾な裏切りによって非業の死を遂げる。さらに、山守の意向を受けて坂井暗殺に動く新開宇市や、保身と野心の間を立ち回る槇原政吉(田中邦衛)など、組員各自の利害が複雑に交錯。広能は坂井と兄弟分の契りを結びながらも、山守の謀略によって義理と友情の板挟みとなり、血みどろの抗争の渦中へと引きずり込まれていく。昨日の友が今日の仇となり、交わしたはずの盃が瞬時に無力化するこの力学こそ、本作の相関図を複雑怪奇たらしめている元凶だ。