陽菜を救うために山手線の線路を疾走し、警察官への威嚇発砲まで行った帆高の行動は、法治国家である以上見逃されるはずがありませんでした。陽菜を地上へ連れ戻した直後、帆高は警察に現行犯逮捕されます。
適用された主な罪状は、銃刀法違反、公務執行妨害、鉄道営業法違反などの重罪です。しかし、帆高が犯行当時16歳の未成年であったこと、家庭環境に酌量の余地が認められたこと、そして発砲による直接的な人的被害が出なかったことなどから、刑事罰(実刑)は免れ、少年鑑別所を経て「保護観察処分」が下されました。
帆高は身元引受人となった親のもとへ戻され、神津島の高校へ復学。監視の目が光る島で、陽菜とも連絡を取ることを禁じられたまま、高校卒業までの約3年間を耐え忍ぶことになります。
小説版『天気の子』では、この空白の3年間の内面描写がさらに克明に綴られています。帆高は自分が下した選択の重み、水没していく東京のニュースを遠くの島から見つめながら、「あれは本当に自分のせいだったのか」「自分たちは世界を変えてしまったのではないか」という重圧と孤独に苛まれ続けていました。それでもなお、陽菜を救ったことへの後悔だけは微塵も抱いていなかった点に、帆高という人間の強靭な精神性が表れています。