本作が他の恋愛・離婚漫画と決定的に一線を画すのは、登場人物たちの容姿や精神性の「劣化」を一切誤魔化さずに描いている点だ。下腹部のたるみ、肌の衰え、加齢に伴う体力の低下、そして何より「若くない自分」に対する自覚と焦燥。安野モヨコの絵筆は、かつてスタイリッシュだったキャラクターたちの現在地を残酷なまでの美しさで描き出す。
恋愛の手札が激減した45歳の女が、恋に狂うことの滑稽さと悲壮感。それはエンタメとしての面白さを提供すると同時に、鏡に映る自分自身を突きつけられるような恐怖を読者に与える。だからこそ、ページをめくる手が止まらないのだ。