3年生の音楽における最大のイベントといえば、間違いなくソプラノリコーダーの演奏開始だ。これまで親しんできた鍵盤ハーモニカとは異なり、指先で直接トーンホールを塞ぎ、息のスピードや量をコントロールしなければ綺麗な音は出ない。
初めにつまずきやすいのが、左手親指の「サミング」や薬指での穴ふさぎの甘さからくる空気漏れだ。「ピーッ」という甲高い音に戸惑い、苦手意識を持ってしまう児童も珍しくない。初等音楽教育の現場では、まず楽器を持たずに指の腹で丸いシールを押さえる感覚を養ったり、ストローを使って息を均一に吹き出す練習を取り入れるなど、細やかなステップが踏まれている。
最初の関門である「シ・ラ・ソ」の3音を滑らかに鳴らせるようになるだけで、演奏できる短いメロディは一気に広がる。音が出た瞬間の輝くような子どもの笑顔こそ、この楽器がもたらす最高の報酬だ。