歌舞伎町の歴史を語る上で欠かせない殿堂、それが「クラブ愛本店」だ。この老舗において、伝説のオーナー・愛田武氏の薫陶を受けながら、頂点に君臨し続けたのが城咲仁だった。5年間連続でナンバーワンを維持し、年間売上3億円を記録。当時のホストクラブ業界において、この数字はまさに異次元の金字塔である。
彼の接客スタイルは、いわゆる「色恋営業」に頼るものではなかった。来店客の誕生日や記念日、細かな会話の内容を一冊のノートに克明に記録し、徹底した人間観察と心理分析で顧客をもてなす。客が何を求めているのかを瞬時に見抜き、最適な言葉と振る舞いを提供するその姿勢は、職人芸の域に達していた。高級ブランデーやシャンパンタワーが次々と注文される光景は、単なる散財の宴ではなく、彼の徹底したプロ意識に対する顧客からの賛辞だったと言える。
この全盛期のセンセーショナルな活躍はメディアの注目を集め、自身の半生をモチーフにしたVシネマ『実録・夜崎仁 歌舞伎町はいすくーる』が制作されるほどの一大ムーブメントを巻き起こした。夜の街のカリスマは、いつしかアンダーグラウンドの枠を飛び越え、大衆文化の主役へと躍り出ていったのだ。