大学1年目の爆発的な活躍以降、なぜ彼女はこれほどまでに長い間レースから遠ざかることになったのか。ファンの間でも様々な憶測を呼んだ不破聖衣来の怪我の真相には、彼女特有のランニングメカニクスと身体の成長バランスが深く関係しています。
不破聖衣来の最大の武器は、小柄な体格からは想像もつかないダイナミックなストライド走法です。滞空時間が長く、地面を強く蹴り出すその美しいフォームは、推進力を生み出す一方で、着地時に体重の数倍におよぶ衝撃をアキレス腱、股関節、そして骨盤周辺に集中させます。
その結果、右アキレス腱周囲炎をはじめ、坐骨や仙骨の疲労骨折、さらには貧血によるコンディション低下が連鎖反応のように引き起こされました。大学時代の故障の理由は単なるオーバーワークにとどまらず、「世界基準の推進力」に対して当時の骨格や筋膜の耐久力が追いついていなかったという構造的な課題があったのです。