日本の演劇文化のなかでも、ひときわ泥臭く、それでいて絢爛豪華な魅力を放つのが大衆演劇だ。歌舞伎の源流にある民衆のエネルギーを色濃く残し、役者の息遣い、流れる汗のひとしずくまでが観客の目に飛び込んでくる。
その中心で確かな存在感を示してきたのが澤村慎太郎劇団である。座長・澤村慎太郎が率いるこの一座は、義理人情を丹念に描く芝居と、目まぐるしく変化するエンターテインメント性を兼ね備え、古くからの愛好家のみならず若い世代の観客をも虜にしてきた。舞台と客席が一体となって熱を作り出す瞬間、そこには劇場でしか味わえない本物のライブ感が充満している。