現代の日本市場においても、特定の商品は頑なに「ダース(12の倍数)」の包装形態を維持しています。単なる慣習ではなく、そこには現場の物流力学とユーザーの行動様式に根ざした合理的な根拠が存在します。
鉛筆1ダース何本かという問いに対しては、文具店でも学校現場でも例外なく12本入りが基本です。大手文具メーカーの製造・出荷基準を取材すると、児童が週5日の授業で毎日違う硬度を使い分ける想定に加え、机の引き出しや筆箱へ収まりやすい平型パッケージ(横6本×縦2列、または横12本並列)の美しさが支持されてきた経緯があります。新学期の贈答用として「1箱で1学期間を過不足なくカバーできる量」という生活実感にも合致しています。
また、卵1ダースパック歴史に目を向けると、欧米市場のスーパーマーケットでは今も12個入り(1 dozen eggs)が陳列の主役です。四角い紙パックに収める際、10個だと「2×5」という細長い形状になり、輸送時の衝撃でパック中央がたわんで卵が破損しやすくなります。対して12個であれば「3×4」または「2×6」という正方形に近い高強度の箱組みが可能となり、トラック輸送時の積載効率と耐衝撃性が飛躍的に向上するのです。日本の一般家庭向けでは冷蔵庫のドアポケット構造に合わせて10個入りパックが普及していますが、業務用やコストコ等の大型量販店では12個・24個規格が主流を占めます。
飲料業界におけるビール1ダース本数も、12本(小箱)あるいは24本(2ダース=1ケース)が世界共通の標準規格です。重量約350ml〜500mlの缶や瓶をパレットに隙間なく積み上げる際、縦横比「3対4」の比率はパレット積載(段ボールの組み合わせ)でデッドスペースを一切生み出さない黄金比率として機能しています。