千丈寺湖の別名を持つ青野ダムは、昭和期に建設された多目的ダムでありながら、日本のルアーフィッシング史において特別な立ち位置を築いてきた。豊かな自然に囲まれたこのリザーバーには、ワカサギやハス、ブルーギル、エビ類など極めて豊富なベイトフィッシュが生息している。これら捕食対象の潤沢さが、規格外の体高と重量を誇るモンスタークラスのブラックバスを育む揺りかごとなっているのだ。
日本バスプロ協会(JB/NBC)が主催するJBプロトーナメントにおいても、この水域の特異性は際立つ。急深な岩盤エリアと遠浅の泥底フラット、そして複雑に入り組んだインレットが同居する地形は、季節ごとの水温変化や風向きによって目まぐるしく表情を変える。歴戦のトーナメンターであっても、湖のバイオリズムを半日読み違えればノーフィッシュの憂き目に遭う。逆に言えば、回遊ルートと捕食のタイミングさえ完全に掌握できれば、他フィールドではお目にかかれないモンスターの連打劇に遭遇できる稀有な水域である。