公的医療保険と民間保険では、登場人物の呼び名が増えるため、さらに混同しやすい。特に「被扶養者」と「契約者」というワードが絡むと、書類の書き損じが急増する。
まず押さえるべきは、被保険者と被扶養者の違いだ。会社員(被保険者)に養われている配偶者や子どもは「被扶養者」と呼ばれる。被扶養者も保険給付を受けられるが、自ら保険料を納めているわけではなく、被保険者の扶養枠に入っている立場だ。病院の問診票などで「被保険者名」を求められた場合、子ども本人の名前ではなく、扶養者である親(会社員本人)の氏名を記入しなければならないケースがあるため注意を要する。
一方、民間の生命保険や医療保険では契約者と被保険者の違いが決定的な意味を持つ。「契約者」は保険会社と契約を結び、保険料の支払い義務を負う人。「被保険者」はその保険の対象(身体・生死)となる人を指す。夫が保険料を支払い(契約者)、妻に保険をかける(被保険者)ケースが典型例だ。
ここで最大の落とし穴となるのが、保険料負担者と受取人の関係による税金の違いである。以下の3パターンの違いを知らないと、保険金を受け取った際に想定外の納税義務が発生する。
- 契約者(夫)=被保険者(夫)=受取人(妻):夫の死亡により妻が受け取る保険金は「相続税」の対象となり、法定相続人の非課税枠(500万円×法定相続人数)が使える。
- 契約者(夫)=被保険者(妻)=受取人(夫):妻の死亡保険金を夫が受け取る場合、自分で保険料を払って自分で受け取る形になるため「所得税(一時所得)」の対象となる。
- 契約者(夫)=被保険者(妻)=受取人(子):夫が保険料を負担し、妻の万一の際に子が受け取る場合、夫から子への「贈与税」とみなされ、税率が跳ね上がるリスクがある。
保険契約を締結する際は、単なる「名前の割り振り」と軽視せず、誰が保険料を拠出し誰に保障をかけるのかを緻密に設計しなければならない。