「昭和の常識」は、現代の物差しで見れば「不適切」の山だ。タバコを吹き鳴らしながら怒号を飛ばす上司、体罰を指導と捉えていた学校現場、ルッキズムやジェンダーへの無頓着。これらは当然正されるべき時代の進化である。だが、その反動として生じた過敏な自主規制の波は、人々の感情を揺さぶる「毒」や「歪み」まで排除し始めた。
不寛容が蔓延する社会に対して、エンタメ作品は単なる娯楽の枠を超えた問いかけを開始している。昭和からの価値観激変が生み出した強烈な摩擦。それこそが、作品に凄まじい熱量を注入する格好の燃料となったのだ。