膵臓癌で背中が痛む場合、その中心となる位置は「みぞおちの真裏からやや左側の背部」および「左の肩甲骨の下周辺」です。背骨(胸椎・腰椎の移行部付近)の深部に重苦しい鈍痛を覚えるケースが多く見られます。
なぜ腹部にあるはずの臓器の異変が背中に現れるのか。その理由は、膵臓の特殊な位置関係にあります。膵臓は胃の真裏、腹膜の後ろ側(後腹膜腔)に位置しており、背骨や主要な神経叢(腹腔神経叢)と極めて近接しています。膵臓に腫瘍が発生すると、周囲の知覚神経や後腹膜を刺激・浸潤し、関連痛(放散痛)として背中側の神経回路に痛みが伝達されるのです。
特に膵臓の「体部」や「尾部」(左側寄りの部位)に腫瘍ができた場合、膵臓がんによる背中の痛みが左側に強く出やすくなります。一方、「頭部」(十二指腸側・右側寄り)に病変がある場合は、背中の中央から右寄りに張りを感じることもあり、腫瘍の局在によって痛みの現れ方にグラデーションが存在します。