このあいまいなニュアンスは、グローバルなポップカルチャーの文脈でも実に味わい深く使われている。世界的な大ヒット曲となった Carly Rae Jepsen(カーリー・レイ・ジェプセン)の『Call Me Maybe』を思い出してほしい。電話番号を渡しつつ「気が向いたら電話してね」と歌うあの歌詞は、相手に過度なプレッシャーを与えない絶妙な距離感=低めの確率を前提としているからこそ、胸をキュンとさせるリアリティを生む。
また、名作海外ドラマ『フレンズ』(Friends (TV series)の作中や、Netflix、HBO などで配信されている近年の海外シチュエーションコメディでも、気まずい質問を交わす場面で "Maybe" が多用される。主人公たちが相手の気分を害さずに誘いを断りたい時、あるいは自分の本心をはぐらかしたい時に放つ "Maybe..." は、一瞬の沈黙と苦笑いを誘う典型的な表現技法なのだ。