早朝のロープウェイ駅周辺では、観光客の列と並行して、保守点検員による機器チェックが念入りに行われていた。大涌谷の散策路周辺にはシェルターが点在し、立ち入り制限区域のゲート前には最新の警報表示板が据え付けられている。現地の道路交通規制は現状、平常運行を保っているものの、突発的な火山性ガスの濃度上昇や局地的な揺れに備え、誘導看板の配置や避難ルートの点検が抜かりなく進められていた。
土産物店の店主は、店頭に並ぶ名物の黒たまごを袋に詰めながら、率直な胸の内を語る。「観光客の笑顔を守るためにも、正確な情報を隠さずに出してほしい。ただ騒ぎ立てるのではなく、どこまでが安全でどこからが注意なのか、行政とメディアが足並みを揃えて伝えてくれることが一番の支えになる」。現地には過度なパニックこそないが、過去の活動期を経験した者たちの研ぎ澄まされた警戒心が確かに息づいている。