宮城の人生を語る上で欠かせないのが、芥川賞作家・吉行淳之介との特異な関係性だ。ふたりは生涯にわたり入籍することなく、適度な距離を保ちながら精神的な結びつきを深め続けた。洒脱でニヒリズムを漂わせる文学者と、情熱の赴くままに行動する福祉の実践者。一見すると水と油のようでありながら、互いの孤独の本質を誰よりも理解し合っていた。
吉行は学園の設立時、多額の寄付を寄せるとともに良き相談相手として彼女を精神的に支えた。一方の宮城も、病弱だった吉行の晩年を献身的に看病した。「夫婦」という社会的な契約にとらわれず、魂の独立を保ったまま寄り添い続けたふたりのあり方は、既存の倫理観を超えた純粋な愛の形として今なお文学ファンの関心を集めている。