ネット上では「イカ耳=不満や警戒を表す可愛いポーズ」として定着していますが、見過ごしてはならない重大な盲点が存在します。それは慢性的な痛みや身体疾患に伴うイカ耳です。
国際獣医学会等で標準化が進む猫の疼痛評価指標「フェライン・グリマス・スケール(Feline Grimace Scale: FGS)」において、耳の位置は最重要項目のひとつに位置づけられています。猫は本能的に痛みを隠す動物ですが、激しい苦痛を感じている際は表情に変化が生じ、両耳が外側に向かって平らに倒れることが科学的に立証されています。
警戒対象が周囲に存在せず、呼びかけても反応が鈍いまま長時間イカ耳を続けている場合、以下のような疾患リスクを疑う必要があります。
- 耳道疾患(外耳炎・中耳炎・耳疥癬):片耳または両耳を常に伏せ、頭を頻繁に振ったり後足で耳を掻く動作を伴う。
- 関節炎・外傷:加齢に伴う変形性関節症や打撲により、歩行時や体位変換時に耳を伏せて痛みに耐える。
- 急性腹痛・泌尿器系疾患:尿路結石や膵炎による強い内臓痛に耐えるため、うずくまりながらイカ耳になる。
感情的な起伏が見当たらないにもかかわらず、半日以上イカ耳の状態が継続している、あるいは触れようとすると激しく嫌がる場合は、速やかに動物病院を受診してください。