結論から言えば、血統書を発行する主要団体(JKC、AKC、FCIなど)の公認スタンダードにおいて、純血のグレート・ピレニーズにブラック(黒)の単色や優勢毛色は存在しない。毛色は「ホワイト」を基本とし、白地にグレー、バジャー(アナグマ色)、ブラン(茶色)、あるいは淡いイエローの斑が入る程度と明確に規定されている。
犬の遺伝学において、グレート・ピレニーズの毛色を決定づける遺伝子は長年の淘汰と選抜によって固定化されている。遺伝子の突然変異で部分的に濃い斑が出ることはあっても、全身が黒い個体が純血のラインから自然発生する確率はゼロに等しい。「黒いピレニーズ」という呼称自体が、生物学的には矛盾を孕んでいるのだ。