世界中から訪れる旅行者の多くが「これを見るためにニューヨークへ来た」と口を揃えるのが、5階 Gallery 502に飾られているゴッホの『星月夜』です。現地での鑑賞環境と注意点を解説します。
美術館の開館は午前10時30分ですが、午前11時を過ぎるとGallery 502の前には三重四重の人だかりができ、最前列で絵の筆跡(マティエール)をじっくり観察することが困難になります。絵画の前に滞留する人の大半はスマートフォンの画面越しに撮影を行っているため、鑑賞の視界が遮られやすいのが実情です。
筆者が現場の動線を検証した結果、最もクリアな視界で鑑賞できる時間帯は「開館直後の10時30分〜11時00分」、または「閉館前の16時30分以降」の2つの時間枠に限られます。入館ゲートを通過したら、1階や2階の展示には目もくれず、中央エレベーターで一気に5階へ上がってください。人の波がまだ到達していない数分間であれば、ゴッホが精神病棟の窓から見つめた夜空の渦巻きと、厚塗りの絵の具が放つ生々しい質感を至近距離で独占できます。