日本人にとって「お札」と言えば、お金以上に神棚や玄関に祀る護符を思い浮かべる人も多いでしょう。「お札や」としての神社仏閣は、人々の精神的安寧を担保する極めて重要な場所でした。
伊勢神宮の「御祓大麻(おはらいたいま)」は、江戸時代に御師(おし)と呼ばれる案内人によって全国津々浦々まで配られました。これは単なる宗教的授与品にとどまらず、一種のネットワークビジネス的な広がりを見せ、日本全国にお札を求める文化を定着させました。
紙に宿る神聖性と職人技術
お札に使われる和紙、朱印、墨書。これらはすべて職人の手作業によって生み出されます。印刷技術が発達した現代においても、手作業の工程を残す寺社は少なくありません。物質としての紙に神仏の霊力を宿すという感覚は、日本特有の「紙文化」の深さを示しています。