本作を大河ドラマ史に残る傑作へと押し上げたのは、間違いなく豪華キャスト陣の熱演です。なかでも平成生まれ初の大河主演を務めた吉沢亮の演技力は圧巻でした。13歳の若き栄一が放つ瑞々しい情熱から、老境に達した91歳の栄一が見せる深い慈愛と迫力まで、声色や佇まい、視線の配り方を完璧に変化させ、一人の人間の生涯を見事に演じ切りました。
そして、もう一人の主人公とも言える徳川慶喜を演じた草彅剛の存在感は唯一無二でした。最後の将軍としての孤独、大政奉還を決断する苦悩、そして隠遁生活の静寂。台詞に頼らず、わずかな表情の揺らぎで慶喜の高潔さと哀愁を体現した草彅の芝居は、放送中から「歴代最高の徳川慶喜」と絶賛の嵐を巻き起こしました。
栄一と慶喜の主従関係は、単なる君臣の間柄を超えた深い魂の結びつきとして描かれました。パリから帰国した栄一が、駿府で隠棲する慶喜と再会を果たす名シーンでは、互いに流した涙の純度の高さに多くの視聴者が胸を締め付けられました。