舌の表面にある「色」の変化は、体内で起きているトラブルを視覚的に伝えてくれる第一の指標だ。健康な舌は全体が淡いピンク色をしており、うっすらと均一に白い苔が付着している。しかし、明らかな変色が見られる場合は注意しなければならない。
まず、舌の表面が白く覆われる舌苔(ぜったい)の肥厚は、口腔内の衛生状態だけでなく胃腸の機能低下や脱水、免疫力の低下が引き金となる。特に、白い苔が厚くこびりついて拭うと赤くただれるような状態は、カンジダ菌というカビの一種が増殖する「口腔カンジダ症」が疑われる。抗生剤やステロイドの長期使用、体力の消耗によって引き起こされるケースが目立つ。
対照的に、舌全体が鮮やかな赤色に染まり、表面に赤いブツブツが目立つ状態は「苺舌(いちごじた)」と呼ばれる。これは溶連菌感染症の代表的な特徴であり、発熱や喉の痛みを伴うことが多い。放置すると腎炎やリウマチ熱などの合併症を引き起こす恐れがあるため、迅速な抗生剤治療が求められる。
さらに、舌が黒褐色に変色する「黒毛舌(こくもうぜつ)」にも警戒が必要だ。舌の表面にある糸状乳頭が異常に伸び、そこにタバコのヤニや特定の内服薬(抗生物質など)による菌交代現象で増殖した黒色色素産生菌が付着することで発生する。見た目のインパクトは強いものの、多くは原因薬の中止や口腔ケアの徹底によって改善する。