かつて大規模な陰圧空間の建設には、何ヶ月もの工期と多大な改修費用を要した。しかし、昨今の医療設備・空調設備産業におけるイノベーションは、その常識を覆しつつある。壁面に後付けできる小型陰圧ユニットや、プレハブ構造を用いた可動式の陰圧コンテナが開発され、パンデミック発生時には数日以内に臨時病床を構築することが可能となった。
こうした設備を導入するメリットは単なる感染防護にとどまらない。院内感染リスクを急減させることで医療従事者の精神的・身体的負担を和らげ、外来診療や一般手術といった通常医療の停止を防ぐ経済的・社会的波及効果は極めて大きい。さらに、平常時は一般的な病室として使い、有事の際だけスイッチ一つで陰圧モードへ切り替えられるハイブリッド型病室の普及も進んでいる。