「普段と生活リズムを変えていないのに、1月・2月になるとガス代が2倍以上に膨れ上がるのはなぜか」という疑問は、検針票を手にした単身者が必ず直面する謎です。この現象には、気象条件と給湯器の物理的な仕組みという明快な裏付けが存在します。
夏と冬のガス使用量比較を行うと、夏場(7〜8月)の水道水温は20℃から25℃近くまで上昇しています。この状態から40℃のお湯を作る場合、給湯器が必要とする温度上昇幅(ΔT)はわずか15℃〜20℃です。しかし真冬になると、地中を通る配水管の温度が下がり、給水温度は5℃から8℃前後まで冷え込みます。冬場に心地よいと感じる42℃まで沸き上げるには、実に34℃〜37℃もの加熱が求められます。
つまり、蛇口から出るお湯の量やシャワーを浴びている時間が夏とまったく同じであっても、水から湯へ変換するために消費される熱量は物理的に約2倍以上に跳ね上がります。これが、冬にガス代が高すぎる理由の根幹です。本人の無駄遣いではなく、水温低下に伴う給湯器の稼働負荷増大が機械的に数値を押し上げているわけです。
さらに冬場は、寒さから自然とシャワーの時間が長引く傾向があります。給湯器メーカーの試算によると、一般的なシャワー(毎分約10〜12L出水)を15分間流し続けた場合の湯量は約150〜180Lに達し、これは一人暮らし用浴槽(約180〜200L)に湯を張る量とほぼ等しくなります。お風呂とシャワーのガス消費量を比較した際、「湯船を我慢して20分シャワーを浴び続けた」結果、浴槽にお湯を張る以上のガスを消費してしまう逆転現象が現場では頻繁に起きています。