物理的な肉体損壊以上に「気持ち悪い」「背筋が凍る」と評されるのが、公安対魔特異4課のリーダー・マキマが放つ心理的ホラーの側面です。
序盤はデンジにとっての「理想の女性」「優しい理解者」として振る舞いながら、その実態はデンジの精神を完全に掌握し、幸福を与えては奪うことを繰り返す冷徹なグルーミング(心理的支配)の怪物でした。マキマがデンジを愛しているのではなく、デンジの心臓に宿る「チェンソーの悪魔(ポチタ)」のみを狂信しているという冷酷な事実が明かされた瞬間、読者は精神的な底なし沼へと突き落とされます。
相手を人間ではなく「従順な犬」としてしか認識しない絶対的な支配欲、そして他者の命を平然とすり潰す淡々とした所作は、モンスターの暴虐とは質の異なる、「人間社会に潜む精神的暴力のグロテスクさ」を極限まで体現していました。