口内に突然発生し、激しい痛みを伴う白く丸い潰瘍――その大半は孤立性の「アフタ性口内炎」だ。物理的な傷、過労やストレスによる免疫力低下、ビタミン不足などが引き金となり、口腔内常在菌のバランスが崩れて局所的な炎症カスケードが暴走することで引き起こされる。
この潰瘍に対して圧倒的な制圧力を発揮するのが、ニュージーランドに自生するフトモモ科の低木ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)の花蜜から採取されるマヌカハニーである。一般的なハチミツの殺菌力は過酸化水素に依存しており、唾液中のカタラーゼによって瞬時に分解・無力化されてしまう弱点があった。
その常識を覆したのが、ワイカト大学(University of Waikato)の故ピーター・モラン(Peter Molan)教授だ。彼はマヌカハニーの中に、酵素分解を受けずに持続的な抗菌活性を発揮する非過酸化水素活性物質が存在することを発見。その正体がメチルグリオキサール(MGO)であることが後に突き止められた。
MGOは細菌の細胞壁を速やかに透過し、タンパク質の合成を阻害して病原菌の増殖を根底からストップさせる。2026年時点の最新生化学分析においても、MGOは口内炎患部に滞留する連鎖球菌や黄色ブドウ球菌のバイオフィルムを破壊しつつ、局所の酸化ストレスを急減させることが確認されている。