「自分たちは熟年夫婦なのか?」と疑問を抱く人は少なくない。明確な境界線は法的に定められていないものの、社会通念や行政の調査データにおいては、婚姻期間が20年を超えた段階、あるいは夫や妻が50代後半から60代に達した時期を一区切りとする見方が定着している。
厚生労働省の動向や内閣府男女共同参画局が公表する意識調査などを参照すると、この年代の夫婦が抱える課題の多様性が浮き彫りになる。子どもの独立によって訪れる「空の巣症候群」や、定年退職に伴う自宅での在宅時間の急増。生活リズムの劇的な変化に伴い、長年潜伏していた価値観のズレが一気に表面化するケースは珍しくない。熟年夫婦と呼ばれる時期は、長年の功績を祝う安らぎの季節であると同時に、関係性の再構築を迫られる最大の試練期でもあるのだ。