基地機能の強化は、防衛力の向上という恩恵の一方で、周辺地域との摩擦という現実的な課題を突きつけています。とりわけ関心が高いのが新田原基地の騒音問題です。
新田原基地が位置する宮崎県新富町は、見渡す限りの茶畑やビニールハウスが広がる農業地帯です。太平洋戦争中には旧陸軍の落下傘部隊訓練場として開設され、戦後の1957年に航空自衛隊基地として再出発したという宮崎県新富町新田原基地の歴史があります。町民の多くは自衛隊の存在に深い理解を示し、基地交付金や雇用創出による地域経済の恩恵を享受してきました。
しかし、F-35Bの配備に伴い、周辺住民の心理には複雑な影が落ちています。垂直着陸訓練時にエンジン排気を下方へ偏向する際、従来のF-15とは異なる低周波の重低音が響き渡るためです。地元自治会の会合や取材において、茶業を営む60代男性は次のように心境を明かしています。
「自衛隊が国を守ってくれていることは誇りに思っています。ただ、静かな朝に突然響く重低音には今も慣れません。牛や養鶏への影響を心配する農家仲間もいます。防衛省には防音サッシの助成だけでなく、訓練時間帯の事前周知を徹底してほしい」
防衛省は防衛施設周辺整備法に基づき、住宅防音工事の補助や公共施設整備への交付金を手厚く配分しているものの、生活実感としての「音のストレス」との間で、繊細なバランス調整が続けられています。