昭和の大スター尾崎紀世彦と前妻の知られざる結婚・離婚の真相は、太平洋を挟んだ物理的な距離と、スターゆえの過密スケジュールがもたらした生活リズムの決定的なズレにあった。東京での音楽活動、コンサートツアー、テレビ出演に追われる尾崎に対し、生活の基盤をハワイに置いた妻との間には、次第に埋めがたい溝が生じていったのである。
さらに、根っからの自由人であり、宵越しの金を持たないような豪快な気質を持っていた尾崎の金銭感覚やライフスタイルも、家族としての共同生活に摩擦を生じさせた。長きにわたる別居生活の末、二人は正式に離婚を選択。慰謝料や財産分与を巡る話し合いは決して平坦なものではなかったが、尾崎は多くを語らず、すべてを背負い込む形で泥沼の露出を避けた。愛した女性と家庭を守りきれなかった悔恨は、彼のその後の歌唱に一層の深みと哀愁を与えることとなった。