無意識に行っている動作の中には、周囲から「和食作法として恥ずかしい持ち方」と受け取られてしまうNGパターンがいくつか存在します。
代表的なNG作法が、器の上部を手のひら全体で覆うように持つ「鷲掴み(わしづかみ)」です。お茶碗の鷲掴みをしてしまう理由の多くは、幼少期に手のひらのサイズに合わない大きな茶碗を使っていた名残や、握力が未発達な時期に覚えた癖が抜けていないことにあります。また、ご飯の熱さを嫌がって高台を避けた結果、上部を掴む癖が定着してしまったケースも目立ちます。
ほかにも注意すべきNG例として以下が挙げられます。
- 親指の沈み込み:親指の第一関節以上がご飯に触れそうなほど器の内側に入り込んでいる状態。不衛生な印象を与えます。
- 手のひらベタ付け(底面密着):高台を使わず、手のひら全体にお茶碗の底を乗せてしまう持ち方。器の熱がダイレクトに伝わり、見た目も重苦しくなります。
- 指先つまみ持ち:縁を指先だけでつまむように持つ所作。不安定で落としやすく、落ち着きのない印象を与えます。
また、食事の席で混同されやすいのが汁椀とお茶碗の持ち方の違いです。陶磁器であるご飯茶碗は高台にしっかり指を掛けて安定させますが、漆器(木製・合成樹脂)の汁椀は熱伝導率が低く、器自体が軽いため、親指を縁に添えつつ残りの指を底面にふわりと添えるようにして口元へ運びます。器の材質と中身の性質に応じた使い分けが、洗練された所作への第一歩となります。