3部作の完結編となった『ちはやふる -結び-』において、野村の演技は決定的な頂点を迎える。かるた部を離れ、自暴自棄にも似た葛藤の中で孤独な戦いを選ぶ太一の姿は、多くの観客の涙を誘った。部室での訣別、雨の中での感情の吐露、そして再び畳へ戻るまでの静かな決意。
ここでの野村は、従来の日本映画における青春ヒーロー像を脱ぎ捨て、敗北を知る者だけが宿す静謐な凄みを漂わせていた。興行的成功を収めた東宝ラインナップの中でも、本作における彼の佇まいは、一人の青年が大人へと変貌を遂げる一瞬を捉えたドキュメンタリーのような純度を誇っている。