渋谷駅周辺を見渡せば、均一化されたハイブランドと瀟洒なカフェが並ぶガラス張りの超高層ビルが林立している。どれも美しく、洗練され、そしてどこか冷たい。都市の再開発がもたらしたのは利便性と引き換えの「予測可能な退屈さ」ではなかったか。
そのアンチテーゼとして、この場所は異彩を放つ。埃っぽい木屑の匂い、アクリル板の独特な光沢、何に使うのか見当もつかない金具の冷たさ。五感を総動員しなければ把握できないカオスがここには残されている。街がどれほど記号化されようと、人間が自らの手で何かを作り出したいという根源的な衝動を持つ限り、泥臭い素材に溢れたこの拠点は失われてはならない都市のインフラなのだ。