日本で同様の法制度を導入しようとする動きは、過去に何度も立ち消えになっている。最大の障壁は、憲法第21条が保障する「表現の自由」と「検閲の禁止」だ。たとえ凶悪犯であっても、その手記や発言を国が一律に差し止めることは、国家による思想統制や検閲につながる恐れがある。
さらに、犯罪者の手記が事件の背景を解明し、将来の犯罪防止に役立つ学術的資料になるという側面も無視できない。何が「悪質な金儲け」で、何が「社会的な記録」なのか。その境界線を誰が引き、誰が判断するのかという問題は、民主主義社会において極めてデリケートなテーマなのだ。