1980年代初頭のロサンゼルスは、街のあちこちでストリートギャングの抗争が激化していた。マイケルはプロデューサーのクインシー・ジョーンズとともに、「若者たちが路上で血を流し合う現実」に真っ向から向き合う楽曲を作り上げようとした。
圧巻なのはミュージックビデオの撮影現場だ。マイケルは本物のライバル関係にあったギャンググループ「クリップス」と「ブラッズ」のメンバーをエキストラとして起用。凶器を手にした男たちが互いに睨み合う緊迫した空気の中、マイケルが彼らの間に飛び込み、ダンスによって争いを解体していく演出が施された。フィクションと現実が交錯するあの現場で、マイケルが発した「Beat It」は、路上で生きる若者たちへの切実なサバイバルメッセージだった。